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COURRiER Japon「ウォートンに聞け!」 3倍の倍率を突破して来日!MBA生が求める日本の“教材”とは?

2016年4月からCOURRiER Japonにて連載の「ウォートンに聞け!」最新記事は、日本で開催された海外短期集中コースGlobal Modular Course (GMC) にTA (ティーチング・アシスタント)として参加した在校生のレポートです。米国から海外に渡航して学ぶGMCプログラムの概要や、多種多様なバックグラウンドを持つWharton生が日本に「何を求め、学びに来るのか」を垣間見ることができる、興味深い記事ではないかと思います。ぜひご一読ください!

【COURRiER Japon 連載】ウォートンに聞け!

3倍の倍率を突破して来日!MBA生が求める日本の“教材”とは?

PHOTO: THE WHARTON SCHOOL, COURRiER Japon

 

COURRiER Japon「ウォートンに聞け!」MBAでヘルスケアマネジメントが学べるのを知っていますか?

2016年4月からCOURRiER Japonにて連載の「ウォートンに聞け!」最新記事は、ヘルスケアマネジメント専攻についての在校生レポートです。記事内にもある通り、Whartonのヘルスケアマネジメント(通称HCM)専攻は全米トップクラスの評価を得ています。現在2年生の在校生が、HCMとしてWharton MBAに入学するためのプロセス、コミュニティの特徴、またそこでの学びについて紹介させていただきましたので、ぜひご一読ください!

【COURRiER Japon 連載】ウォートンに聞け!

MBAで「ヘルスケアマネジメント」が学べるのを知っていますか?

松本恵理子 2007年慶応義塾大学商学部卒業。同年、三菱商事株式会社入社。ヘルスケア部門にて、病院の建替えプロジェクト(病院プライベート・ファイナンス・イニチシアチブ)を担当。その後、子会社であるエム・シー・ヘルスケアに出向し、診療材料・医薬品の共同購買及びサプライチェーンシステムの営業とビジネス開発に従事。現在、ウォートンのヘルスケアマネジメント学部在学中。2017年5月MBA取得予定。

PHOTO: THE WHARTON SCHOOL, COURRiER Japon

実はウォートンのMBAには、ヘルスケアマネジメント(通称HCM)という専門学部が存在する。1971年から45年以上も続いているプログラムだ。留学生が約30%を占めるウォートンだが、HCMの留学生比率は10%と極端に少ない。そんななか、総合商社のヘルスケア部門を経て留学した松本恵理子さんが、挑戦の日々をレポートする。

私も受験をするまでHCMの存在を知らなかったのですが、ここ米国では、常識的に「ヘルスケア業界に強いウォートン!」としてかなりのプレゼンスを示しており、業界に多くの優秀なビジネスパーソンを輩出しています。たとえば、ジョンソン・エンド・ジョンソンのアレックス・ゴースキーCEOもその1人です。私も留学してすぐに、この強固なネットワークを目の当たりにしました。

そもそも、この特殊なHCMプログラムは毎年70人前後の枠があり、ウォートンに出願する時点で、HCM専攻希望であることを宣言しなければなりません。選考も通常のMBAよりワンステップ多く、HCMプログラムディレクターであるジューン・キニー教授との面接を突破する必要があります。

合格のポイントは、「既存のHCMネットワークをさらに広げて、新たな価値を吹き込めるか」です。クラスメートの持つ経歴と強みにはそれぞれに個性があり、まさに「ヘルスケアのるつぼ」を実感します。職務経験も、プロバイダー(医療機関)、ペイヤー(保険会社)、臨床経験のある医師、ヘルスケア関連のコンサル、投資銀行、プライベートエクイティ・ベンチャーキャピタル、バイオテック、製薬、医療デバイス、スタートアップ、とバラエティに富んでいます。ペンシルバニア大学医学部在学中のMD・MBA生も複数人います。

「私に理解を示す必要のない米国人」との議論

ウォートンでは、クラスの単位を「コホート」と呼びますが、このコホートにそれぞれ6名ずつMCH生が配置されます。そして、この6名で1つのラーニングチームを構成します。HCM関連の授業はもちろんのこと、統計学やマーケティングなど、MBAのコア科目における課題もこのラーニングチームで取り組むことになっているため、実質1年生の間は、四六時中、HCM生と一緒に過ごすことになります。

私のラーニングチームは、ヘルスケアコンサル、保険会社、PE、スタートアップ経験者、そして私という構成で、私を除く全員が米国人。ここで特筆すべきは、HCMにおける留学生の少なさです。ダイバーシティに富むウォートン全体では、30%強の留学生がいます。しかしHCMではわずか10%。中国人、インド人、メキシコ人、そして日本人は私のみです。

HCMの歴史上も、日本からの純粋な留学生は4人しかいません。米国のビジネススクールなので、やはり米国のヘルスケアが学びの中心になります。また、「HCMで有名なウォートンで、何がなんでも学びたい!」という意思で入学している学生がほとんどなので、クラスメートの米国人率が上がるのは当然のことでもあります。

思い返せば、留学前の商社勤務時は、米国人とだけ膝を突き合わせて議論する機会は少なく、あったとしても、我々のビジネスに「理解と興味のある米国人」との接触でした。しかし、「利害関係もなく、私に理解を示す必要もない米国人」と共に課題やプロジェクトを推進していくことは、未知体験。また、学びのベースは米国のヘルスケア制度ですから、いままでどっぷり米国の医療に浸かってきた米国人クラスメートと私とでは、知識とセンスに大きなギャップがあり、それをハンディキャップと感じることも多くありました。実際、時間をかけて考えたアイディアがものの見事に一蹴されたり、「米国の常識とは違うから…」と反論にあったりもしました。

著名病院からもコンサル依頼!

ここで、HCMの名物授業を2つ紹介します。

1つ目は、HCMの基礎科目の位置づけである、ロートン・バーンズ教授による、「ヘルスケアサービスシステム」です。HCMには“アイロン・トライアングルからトリプル・エイムへ”という合言葉があります。アイロン・トライアングルとは、アクセス、質、医療費の3つを頂点とする三角形のことで、どれかを実現するためにはどれかが犠牲にならなければならない、という考え方。一方、トリプル・エイムとは、質、健康向上、医療費の3つを頂点とする三角形は、どれも犠牲にすることなくバランスを保ち得る、という発想です。この考え方へのシフトを、徹底的に頭に叩き込まれるのです。これはまさに、昨今の業界トレンドである「バリューベースヘルスケア(Value-Based Care:ボリュームではなく、費用対効果の高い、価値創出に基づく医療)」に関連しており、HCMでの学びの軸になっていると感じます。

この授業では、前出のプロバイダー、ペイヤー、そしてプロデューサー(製薬メーカーやデバイス企業など)の各立場からヘルスケア業界を俯瞰することも目的としています。ゲストスピーカーたちが毎回テーマに沿った講義をしてくれるのですが、彼らが豪華かつテーマがタイムリー。とくに、2015年に話題になったノバルティスとグラクソ・スミスクラインの事業移管を担当したインベストメントバンカーの華麗な講義は、学生の大きな注目を集めていました。

2つ目の名物授業は、「フィールド・アプリケーション・プロジェクト(通称FAP)」で、6人がチームを組み、医療機関、ヘルスケア関連企業/スタートアップのコンサルティングをするプロジェクトです。全部で12チームしか組んでいないのに、米国内外から届いたコンサル依頼は50以上。ここでもHCMのネットワークの幅広さに驚かされました。

私のチームが選んだプロジェクトは、ロサンゼルスの著名病院であるシダーズ・サイナイ病院の、外来患者の健康へのエンゲージメントを促進させるというもの。病院側もこのプロジェクトには真剣で、毎週の電話会議に加え、チームミーティングも頻繁に実施する必要がありました。

しかし、仲間と切磋琢磨して、各人が自分の強みを発揮しながら1つのものを創りあげるプロセスは、目まぐるしくも有意義で、純粋に楽しい時間でした。とくに、私自身の飛び込み営業マインドを活かして、最終的に病院から最も感謝される情報をとってきたことがプロジェクトの突破口となりました。米国医療のフィールドという、自分がアウェーな環境でも存在感を示せたことが、自信にも繋がった貴重な経験となりました。

最新のトレンドに触れられる

HCMではさらに、ヘルスケアクラブの活動も盛んです。毎年2月にウォートンで開催されるヘルスケアカンファレンスは全米のビジネススクールが開催する最も大きなもので、HCM卒業生も集結するネットワーキングイベントになっています。2017年のカンファレンスのテーマは、「ブレーキング・バウンダリーズ(境界を壊す)」でした。「変化の激しいヘルスケア市場で、良質な競争とコラボレーションを実現していこう」というメッセージが詰まったカンファレンスとなりました。

ほかにも、トレンドの1つでもあるデジタルヘルスケアに着目したデジタルヘルスクラブでは、先日、同分野のスタートアップ企業を訪問するトレック(研修旅行)に参加しました。メンタルヘルス患者とコーチングスタッフをマッチングする「Lantern(ランタン)」やメディケイド(低所得者・身体障がい者を対象とした米国公的医療保険制度の一つ)に着目したデータ管理プラットフォームを構築する「Nuna(ヌナ)」など、次の時代をリードするスタートアップのマインドとスピード感に触れることができました。

夏期のインターンシップ探しや就職活動も、ウォートンの一般のキャリアアドバイスの他、HCMからの手厚いサポートが受けられる仕組みになっています。私は2016年夏、大型大学病院の1つであるアラバマ大学バーミンハムのヘルスシステムの管理部門でインターンをしました。携わったのは、外来の診察室利用率を向上させるための方策や、米国医療のキーワードでもある「ポピュレーションヘルス(グルーピングした患者集団に対する医療介入)」の取り組みへの提言など、コンサルティング要素の詰まったプロジェクトでした。米国の大型病院は病院経営を明確に「ビジネス」と捉え、生き残りと威信をかけています。常に医療環境の変化を正確に捉え、そのビジネスを進化させようという努力に余念がないところが印象的でした。

HCMで学ぶ中で、「オバマケア」というビックウェーブを受けたヘルスケア業界全体の試行錯誤と、変化を遂げつつあるダイナミズムをひしひしと感じます。今後、トランプ大統領による医療政策へも対応していかねばなりませんが、根底にある「バリューベースヘルスケア」の流れに乗って、一歩ずつ地に足をつけて前進している印象を受けます。トレンドも常時、微妙な変化があり、現在は「ホームヘルス」「メンタルヘルス」「外来シフト化と利便性向上」に着目したビジネスが非常に増加しているようです。日本も、医療制度が異なるとはいえ、こうした米国のビジネスから学べるところはたくさんあると思います。

HCMでは授業内外で、圧倒されるほどに多くの良質な機会が与えられます。その上、70人のクラスメートの結束が非常に強く、彼らの多様な経験と強みが有機的に作用し、深く幅広い学びを無限大に生み出しています。

HCMは私にとって、そんなパワーを感じる場所です。

COURRiER Japon「ウォートンに聞け!」35歳でウォートンの終身教授に!ベストセラー作家でもあるアダム・グラントの授業を受けてみたら

2016年4月からCOURRiER Japonにて連載の「ウォートンに聞け!」最新記事は、Wharton名物教授の1人であるアダム・グラント教授の授業に参加した在校生からのレポートです。入学後すぐに受講するマネジメントの授業についても雰囲気も感じて頂ける内容となっていますので、受験生の皆様もぜひご覧ください。

【COURRiER Japon 連載】ウォートンに聞け!

35歳でウォートンの終身教授に!ベストセラー作家でもあるアダム・グラントの授業を受けてみたら

嶋原佳奈子 沖縄県生まれ。2009年京都大学総合人間学部卒業。同年、伊藤忠商事株式会社入社。情報通信部門にて出資先の事業開発に従事した後、2013年よりNPO法人クロスフィールズにて組織運営、および新興国NPO支援と日本企業の人材育成プログラム構築に携わる。2016年ウォートンスクール入学、2018年MBA取得予定。

PHOTO: THE WHARTON SCHOOL, COURRiER Japon

ウォートンの人気教授に、アダム・グラントがいる。デビュー作である著書『GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代』は、日本を含め世界27ヵ国語に翻訳されるベストセラーとなった。そして、続く『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』も反響を呼んでいる。今回は、ウォートン入学早々に彼の授業を受けた日本人留学生からのレポートをお届けする。

ウォートンでの留学生活も半年が過ぎ、入学前に想像した以上に、学校の提供するリソースの豊富さに驚いている。世界トップレベルの教授陣はまさにその最たるものだが、なかでも35歳という若さでウォートン史上最年少の終身教授となったアダム・グラント教授を紹介してみたい。グラント教授は組織心理学者であり、「フォーチュン」誌の「世界で最も優秀な40歳以下の教授40人」に選ばれるなど多数の受賞歴を持つ。また、グーグル、ウォルト・ディズニー、ゴールドマンサックス、国連などの世界の名だたる企業や機関にコンサルティングをしている。

『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』は、Warby Parker(ワービー・パーカー)というオンライン眼鏡販売ベンチャー企業への投資話で始まる。教授は、当時ウォートンの学生だった創業者の1人から投資の話を持ち掛けられる。後にこの会社は「アイウェアのネットフリックス」とも呼ばれるほどに成功するのだが、教授は投資を断ってしまった。というのも、彼が考えていた「起業を成功させるために必要な選択」と「創業者たちがとった選択」が異なっていたからだ。「創業者たちは、起業アイディアに専念しておらず、平行して就職活動もおこない、ゆえに会社設立の準備も遅れがちになっていた。彼らは成功に必要とされるリスクを充分とっていない」と教授は判断した。

起業家がオリジナリティを発揮し成功するには徹底的にリスクを冒すことが必要だ、という通説に従ったのだ。しかし、この判断は失敗に終わった。この経験をきっかけとして、教授はこれまで信じてきたこととは違うメカニズムがあることに気づく。では、オリジナリティを発揮するためには何が必要なのだろうか?

ある研究によると、使っているウェブブラウザの種類によって、その人のオリジナリティがわかるという。ここでは、ブラウザの種類自体が問題なのではない。あらかじめインストールされているブラウザを使うか、自発的にほかのブラウザをインストールして使っているか、という行動様式の違いがポイントである。つまり、オリジナリティの最たるポイントは、既存のものを疑い、よりよい選択肢を探して自ら働きかけをおこなっていくところにある。

また、優れた創作者であっても、生み出す作品の多くは、同じ分野に取り組むほかの人たちの正品と質の面で大きな違いはない。それよりも、「圧倒的な生産数」がオリジナリティの高い作品の生まれる確率を高くするのだという。たとえばモーツァルトやベートーヴェンも、傑作よりはるかに多くの“注目されなかった作品”を生み出している。この著書を通じて、グラント教授は、「オリジナリティのある人たちは私たちが思うよりもずっと普通の人たちであり、誰もが『オリジナル』になれるのだ」と主張する。

オリジナリティを発揮して成功する人も、普通の人と同じように恐れやためらいと戦っている。それでも同調圧力に反して行動を起こし、その後に失敗したとしても、「やってみないこと」のほうに後悔する。こういったことを身をもって知っている点が違うのだ。

教授の恐るべき記憶力

私は幸運にも、ウォートン入学後初めての授業をグラント教授から受けることができた。「Foundation of Teamwork and Leadership」という5日間集中型のこのコースは、初めてのクラスメートとの授業ということもあり、もっとも緊張と期待に溢れたものだった。コースは午前にレクチャー、午後にラーニングチーム(5~6名からなる必修科目向けのグループ)を組んで電気自動車会社の経営シミュレーションをする、という構成。午前中に紹介されたコンセプトを午後のシミュレーションで実際に経験し、振り返ることで身につけていくというアプローチをとる。

まず驚いたのは、教授がコホート(必修科目を一緒に受ける65~70名のクラス)全員の名前とバックグラウンドを正確に覚えていたこと。「君がいたデロイトではどういうリーダーがいた?」「シリアルアントレプレナーだった君は、こういう場面でどう対応した?」と実体験を引き出しながら議論を進めていったのだ。

一人ひとりの発言を注意深く聞き、そこからさらに内容を深めていく。これが連鎖し、学生のほうもそれぞれの会社の方針・戦略を自分なりに理解する。さらに、それを踏まえて「自分がどういったリーダーシップを発揮したか」という視点の発言をするようになる。こうして非常に有意義な議論になっていった。

また授業では、ビジネスにおける感情のコントロールの仕方、チームでの意思決定の方法、チーム内の対立の乗り越え方、一般企業における組織文化の重要性なども学ぶ。一般的に、これらは正解が曖昧になりがちなテーマであるが、教授は自身のコンサルティングの経験から、実際の企業でのケースを引用したり、定量データをもとにしたりと、曖昧さを残さなかった。

一つ印象に残っている場面がある。経営シミュレーションで、CEOを選んだ翌朝のレクチャーでのこと。教授は各チームで選ばれたCEOの男女比率のデータを見せながら、「CEOに選ばれるのは(クラス内の男女比率を考えても)必ず男性のほうが多くなる。これは毎年現れる傾向なんだが、いったいなぜなんだ?」と問いかけた。一般論としてではなく、自分たちが前日に下した決断に対して明確な事実を突きつけられたことで、教室内はシンと静まり返ったことを覚えている。

米国人も空気を読む!

また、チームワークを取り上げた際には、Groupthink(集団思考:グループでの意思決定において不合理な決定に陥ること)という傾向に警鐘を鳴らし、少数派の意見を聞くことの重要性が強調された。これも、「言うは易し行うは難し」。経営シミュレーションにおいて、「新規参入する海外マーケットを選ぶ」というミッションが与えられた際には、ほぼすべてのグループがGroupthinkに陥ってしまった。

シミュレーションにおいては、各メンバーが異なるマーケットの情報を与えられ、各自の情報を持ち寄って参入すべきマーケットを決定する。そのなかに有力にみえる情報があり、それをグループの多数が信じると、少数派の意見は合理的であっても聞かれず、チームとして誤った決断に至ったのだ。だが実は、一見すぐに候補から落とされそうな別のマーケットが、この会社にとってはベストな選択だったことが、後から判明したのである。

またウォートンに来てから、「空気を読む」というのは日本に限らず米国にもあると感じるようになった。皆がある案についていいねと盛り上がって進むとき、水を差すことは米国人でも避けがちになる。著書『ORIGINALS』にある「同調性の圧力」は明らかに存在するのだ。

グラント教授「僕は内向的な人間」

最後に、授業全体を通じて印象に残っているのが、教授自身が理論を唱えるだけでなく、体現していたところだ。

たとえば、自己認識とパーソナリティタイプの授業において、授業をビビットなものにすべく外交的な人間のまね(興奮して机をひっくり返してしまうというアクションつき)をして見せたと思えば、こんなふうに自身を明かした。「僕は内向的な人間。人前で話すのは苦手だし、初めて教鞭をとったときにはずっと手が震えていた、と生徒に言われた。いまでも毎回緊張するね」

グラント教授は授業や著書を通して、こんなことを伝えている。「優れたリーダーシップやチームワークは、マジックではなくスキルセットである」「根拠に基づいた経験を積むことと、実践やフィードバックによって“知っている”と“できる”の間のギャップを埋めることが重要」そして、「独創性は特別なものではなく、体得できるものである」といったことだ。教授自身も現状の地位に甘んじることなく、つねに自分を受け入れ、そのうえでストレッチをかけ続けているように見える。

私自身、当初グループワークでは自然と「空気を読んで」しまうことが多かったが、授業を受けて以来、常にこれでよいのかという視点を持つようになった。そして、ときには流れに逆らって、反対意見を明確にメンバーに伝えるようになった。チーム内が張りつめた空気になることもあるため、そうするにはいつも勇気がいる。けれど、後から「あれはよかったよ」と評価されることもある。

小さな変化かもしれないが、体得を信じて行動を起こすことが、すべての第一歩かもしれない。